麻酔科


神経ブロックについて

 「神経ブロック療法」とは神経や神経の周辺に局所麻酔薬を注射して痛みをなくす方法です。
 麻酔薬が神経に作用し、痛みの刺激が神経を伝わるのをブロックすることで痛みを取り除きます。同時に血管が拡張し、血管の流れが良くなると痛みの刺激を生じる物質が洗い流されるので、痛みの緩和が期待できます。
 また、筋肉のこわばりもなくなるため、筋肉由来の痛みを和らげる効果もあります。一回で痛みが完治するものではなく、薬物療法と併用して複数回実施するのが一般的です。神経ブロック療法にはいくつか種類があり、主なものを紹介します。
・硬膜外ブロックについて
 硬膜外ブロックとは脊髄の外側に存在する硬膜外腔に局所麻酔薬を注入して神経をブロックする方法です。
 椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの疾患による腰痛、両下肢の痛みに対して行われます。帯状疱疹後の神経痛に対して行われることもあります。
 腰椎の下部から臀部にかけての痛みに対しては、仙骨部硬膜外ブロックが行われることが多いです。こちらは比較的安全にでき合併症も少ないブロックです。硬膜外ブロックの合併症には、低血圧、出血、感染、局所麻酔薬による中毒、神経損傷などが挙げられます。
 しかし、神経ブロック注射を数多く経験した麻酔科、整形外科の医師の治療を受けることで、副作用が起こる可能性は少なくなります。
 痛みに悩んでおられる皆さま。一度、お近くの病院で相談してみてください。

平成26年7月 中島早智子


神経ブロックについて

 神経ブロックには硬膜外ブロック、星状神経節ブロック、肩甲状神経ブロックなどがありますが、この中で代表的な硬膜外ブロックについてご紹介します。
 硬膜外ブロックとは、硬膜外腔に局所麻酔剤や抗炎症薬を注入することによって末梢神経や交感神経をブロックし、痛みを緩和する治療です。同時に神経への血流も改善されるので、弱っていた神経に酸素や栄養が与えられ、神経の修復にも役立ちます。硬膜外腔ですが、脊髄をとり囲んでいる一番外側の膜を硬膜といい、その硬膜と黄色靱帯の数ミリのすきまを硬膜外腔といいます。ここに薬剤を注入する事で疼痛をやわらげ、血行障害を改善します。
 適応となる病気ですが、帯状疱疹(ヘルペスのことです)後神経痛、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、腰椎分離症、腰椎すべり症、腰痛症などです。細いカテーテルを入れて治療する場合もあります。またお産の時、無痛分娩を希望される方がいらっしゃいますが、その場合使われる麻酔もこのブロックで、硬膜外麻酔といわれています。
 合併症ですが、血腫、感染、血圧低下、頭痛、硬膜穿刺などがいわれています。しかし、麻酔科、整形外科など専門の技術をもった医師が細心の注意を払って行っているので、副作用の出る確率は大変少なくなっています。
 腰痛、足のしびれ、歩行障害、神経痛などでお困りの方、一度病院でご相談されることをお勧めします。

平成18年10月1日 中島早智子


人工呼吸について

 毎年のように水泳シーズンには必ず「出来水」「溺死」が新聞の社会面に残念ながら出てきます。救急隊の方々は日夜大変なご苦労をされ、救急救命の実務と勉強をされておられ、頭が下がります。しかしながら救急隊の到着する5分間が、生死を分ける場合も少なからずあり、特に小さな子供さんや体力の衰えた老人の方を抱えておられる家庭では簡単な人工呼吸のテクニックを身につけておきたいものです。
@物をのどにつまらせた時には、小さな子供さんなら足を持って逆さにして背中をたたきましょう。
A顔を横にして寝かせ、口の中に指をつっこんで吐かせましょう。(噛まれないように割り箸を歯の間に挟むことが必要なこともあります。)
B顔色が青くなって、唇が青黒くなっているときには、口を大きく開けて相手の口を覆い大きく息を吹き込みます(図)。この時頬を相手の鼻の穴をふさぐようにあてるか、指で鼻をつまみます。胸の膨らみが悪いときは顎を突き出すように(花の匂いを嗅ぐときのように)持ち上げてやるとうまくゆきます。ただし赤ちゃんの場合は(相手の)鼻と口に息を吹き込みます。(10-30回/分くらいの速さで)
C顔色のもどりが悪いときは、息を吹き込みながら、心臓の上をたたくか、胸の真ん中を4-5cmへこむぐらいに手のひらでおしつけます。(60-90回/分)
D溺れた人は泳ぎの達者な人に後ろ横から押し上げ早く地面にあげてもらい、横又はうつ伏せにして口や胃の中の物を吐かせてから人工呼吸に移りましょう。

原本平成4年9月  田中重三


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