脂肪肝とは、肝臓に中性脂肪が過剰に沈着した状態で、ひどくなると肝機能障害を伴います。原因はさまざまですが、過栄養(肥満)、アルコール摂取、糖尿病によるものが大部分を占め、特に食生活が豊かになった近年は、食事エネルギーの過剰摂取と運動不足のために若年者の脂肪肝が増加しています。
自覚症状としては、「食欲がない」「疲れやすい」「体がむくむ」あるいは「お腹がはったような感じがする」などがありますが、これらは脂肪肝に特有の症状ではなく、また、まったく無症状の場合も少なくないので、見過ごされている場合もしばしばあります。
脂肪肝そのものは生命に関わる病気ではありませんが、原因である過栄養(肥満)は糖尿病や高脂血症の原因にもなり易く、これらは動脈硬化の促進因子となるので、治療が必要です。
治療の原則は、原因の排除と原疾患の治療、つまり食事療法が主体となります。食事は規則正しい時間にとること、糖分脂質を制限し蛋白質、ビタミン類(特にビタミンB群)は十分に摂取すること、1日の摂取カロリーを標準体重あたり25〜30キロカロリーにおさえることです。さらに運動療法を加えれば、いっそう効果的でしょう。
平成10年3月 中山千彰
胃腸のポリープはほとんどの場合お腹を切らずに内視鏡で切除できます。ふつう“ポリープ”といえば“いぼ”のように隆超した良性の腫瘍をいい、人きさは数mmから10数cmに及ぶものまであり、形も平坦なもの、きのこ状のもの、球状のものなどさまぎまです。ポリープが見つかった場合必ずしもあわてて切り取る必要はありませんが、次第に大きくなって一部に“がん”が発生したり、潰瘍をつくって出血したり、腸閉塞をおこすことがありますので、専門医にご相談ください。“ポリペクトミー”という方法で、内視鏡を通して電気メスを胃内に入れ輪のような電気メスでポリープの根元をキュッとしばり、電気を流すと「ポロッ」と切り取れます。切り取ったポリープは内視鏡で回収し、組織検査をします。怖いのは切り取った部位に穴があいたり出血が止まらないことで、輸血や緊急手術が必要になることがあります。ポリープが大きいほどその危険性が高くなりますが、ほとんどの場合は安全に切除でき、数日の入院で治療できます。またポリープによっては日帰り手術も可能です。
病気を早期に発見し、お腹を切らずに内視鏡で治療するためには年に一度は胃腸の検査を受けることをお勧めします。
平成9.7. 平林靖士
数年前まではたとえ5〜6mmの早期がんでもお腹を切って胃腸を大きく切除していました。しかし、最近では2cmくらいまでの“がん”は内視鏡で病気の部分を削るように切除することが多くなり、お腹を切らずにすむようになりました。ポリープのように隆起した“がん”はこれまでも“ポリペクトミー”の要領(前述)で内視鏡で切除することもありましたが、浅い潰瘍をつくるタイプのものは外科手術で切除していました。
しかし、最近ではこのタイプのものも内視鏡で“がん”の部分に薬を注射してポリープのように盛り上げ“ポリペクトミー”の要領で切除するようになりました。ただし、“がん”の大きさ、形、細胞の種類によっては内視鏡で切除できない場合があります。また、切り取った組織をよく検査してみると十分に切り取れていなくて外科手手術が必要になる場合もあります。さらに再発の有無を見るために1週間、1ヵ月 3ヵ月、6ヵ月、1年後と何回も内視鏡検査が必要です。その結果“がん”がでてくれば再度内視鏡的切除や、場合によっては外科手術が必要になることもあります。また、入院期間も最低1週間は必要です。なかには「そんな面倒なことなら最初からバッサリと腹を切る方がいい」と言われるさっぱりした方もあります。もちろんそれでいいのですが、やはり内視鏡的切除の方が楽です。そして、専門医が内視鏡で切除可能と判断したものはまず碓実に切除できます。
胃腸の“がん”は毎年検査を受けていればほとんどの場合早期の状態で見つかり、約1週間の入院で内視鏡で治療できます。これは10年前からみると画期的な出来事なのです。毎年きちんと胃腸の検査を受けることをお勧めします。
平成9.8. 平林靖士
肝臓の悪い方が大量の血を吐くことがよくあります。その原因の一つは食道静脈瘤の破裂です。食道静脈瘤は食道の内腔に累々と盛り上がった血管で健康な人にはみられないものですが、肝臓が悪くなると血液が肝臓を流れにくくなり、代わりに食道の静脈を通るために形成されます。内視鏡でこの血管に硬化剤を注射したり、クリップや強力な輪ゴムで縛ることにより血管を消失させることができます。この方法で未然に血管を潰すことができるようになったため、以前に比べると食道静脈瘤からの出血で命を落とす方は随分と少なくなりました。
肝臓の悪い方は年に一度は内視鏡検査で食道静脈瘤のチェックを受けることをお勧めします。
人はいろんなものを飲み込むことができます。入れ歯、錠剤やカプセルの固い包み紙(PTPヒート)などを飲み込んで受診される方が多いようですが、そのほかにも画びょう、爪楊枝、コイン、よくぞ飲み込めたと拍手したくなるほど大きな骨などのこともあります。ほとんどの場合は数日で便と一緒にでてきますが、なかには胃腸のどこかにひっかかって壁に穴をあけたり、腸閉塞をおこすことがありますので、できれば早いうちに取り出す方がいいでしょう。「あっ」と思ったらあわてずに専門病院を受診しましょう。内視鏡でつまみだすことができます。ただ、呼吸が苦しい場合や咳込んでいる場合はのどにひっかかったり気管の中に入っていると思われますので、急いで受診してください。
平成9.9. 平林靖士
「胃が痛い」という訴えで来られる患者さんの場合、胃炎、胃十二指腸潰瘍が多いのですが、胆石、膵炎、アルコール性肝炎や、なかには急性虫垂炎、狭心症、心筋梗塞などのこともあり、胃透視や胃カメラ以外の検査が必要なこともあります。ここではみぞおちの痛みをきたす代表的な疾患と典型的な症状をご紹介したいと思います。急性期の胃十二指腸潰瘍よりの出血は、腸を通るとき変性しコールタールのような真っ黒い便となります。また、十二指腸潰瘍は比較的若い人に多く空腹時痛、夜間痛がみられます。胆石発作では、やや右よりの差し込む激痛、38℃以上の発熱、皮膚や白目の黄染(黄疸)をきたします。この時、灰白色の便が続けば、便の色の元である胆汁が腸にでてない証拠で、胆道の完全閉塞をあらわす危険信号です。膵炎は、アルコール多飲や胆石発作に伴うことが多く、やや左の激痛、脂肪便、下痢、左背部へ拡がる痛みがあります。アルコール性急性肝炎はまれですが、急速な肝臓の腫れにより痛みます。嘔吐下痢症は、有害物質を体外に排出しようとする生体反応ですが、激しい胃腸の動きにより痛みを生じます。横行結腸(胃の近くの大腸)の陽炎で遅れて血便が出ることも
あります。盲腸の初期はみぞおちが痛むこともあり、次第に痛みが右の下腹に限局し、発熱、吐き気を伴います。心筋梗塞の広範な胸部の不快感がお腹の痛みと感じることもあります。
以上のようなこともありますので、みぞおちが痛むときは、胃の検査の前にあらかじめご相談いただき、腹部エコーなどの検査も受けられることをお勧めします。
平成9.2. 西信正男
日本人の肝障害のほとんどは、A・B・C型ウイルス肝炎によるもので、欧米ではアルコールによるものが多い。A型肝炎は経口感染し、流行性肝炎であり、急に発症し、急に治癒します。問題はB型・C型肝炎です。いずれも、発症してから約30年で肝硬変に変化します。肝硬変になると急に肝癌の発生頻度が高くなります。肝硬変になると、肝臓に一部がそうなるのではなく、肝全体が硬く変化するため、肝のどの部位から癌が発生してもおかしくない状態となります。しかし、最近の医学の進歩はめざましく、肝癌が発生しても早期に加療することにより治癒します。肝硬変の患者さんは、最低3カ月に一度は採血や超音波検査、高速CTによる検査を受け肝癌の発生の有無をチェックし、同時に肝の形態、腹水の有無、側副血行路の状態、脾腫の有無などをチェックし、肝硬変の程度を知る必要があります。また、肝硬変の患者さんは、食道静脈瘤破裂による吐血、出血死を防ぐため、定期的に食道から胃にかけての検査をおこない、静脈瘤ができているようなら早めに治療をする必要があります。
しかし、大切なことは、まず肝硬変にならないことです。もし、健康診断などで、肝機能障害を指摘され、それがB型やC型肝炎ウイルスによるものであれば、早めに医師に相談し、適応があるならインターフェロンなどのウイルスを殺す治療をし、そうでなければ、肝硬変への進行を遅らせるよう適切な治療、および禁酒など生活一般に対する指導を受ける必要があります。
平成8年6月 木本 真、岡崎良夫
ヘリコバクターピロリ(ピロリ菌)が1983年にオーストラリアの病理学者ワレンと内科医マーシャルによって、胃炎患者から発見されて以来、胃炎や胃十二指腸潰瘍にピロリ菌が深く関わっていることがわかってきました。さらに、最近の海外の統計調査から、ピロリ菌の感染と一部の胃癌との関係が強く疑われています。
ピロリ菌は人の胃の中で生きていくためのエネルギーを得るために、尿素を利用します。その代謝の終末産物としてアンモニアが産生されます。人間の胃の中は胃酸のため強い酸性状態ですからアルカリ性であるアンモニアよって、胃内のpHが上昇します。このpHの上昇を補おうとして胃酸の分泌が多くなります。このためピロリ菌がいる限りは胃十二指腸潰瘍がなかなか治らないことになります(Gastrin link説による)。また、ストレスによって胃炎や潰瘍になる人がいますが、これもピロリ菌がいると、より潰瘍になりやすく、除菌治療した人はストレスを受けてもなりにくいことがわかっています。
ピロリ菌に感染している人の胃粘膜はもろくなっているために、潰瘍は治りにくくなっており、また、治っても再発しやすい状態です。最近のデータでは図のように、除菌治療が成功したグループでは潰瘍の再発率が非常によく抑えられています。
このように、ピロリ菌は潰瘍の原因や難治化の要因となっていますので、潰瘍の患者さんは、ピロリ菌が胃内に存在するのかどうかの確認をすることが大切と考えられます。
平成8年4月 井出 透
1)組織学的検出法:内視鏡下で胃粘膜を採取し、顕微鏡で菌の有無を見ます。
2)生化学的検出法:ピロリ菌が尿素から産生するアンモニア(アルカリ性)を利用して色素反応で判定します。内視鏡下で胃粘膜を採取しておこなうウレアーゼテスト。内視鏡で胃内にpH指示薬の色素を散布して、ピロリ菌の存在と分布をみるフェノールレッド色素内視鏡などがあります。
3)尿素呼気試験:非放射性同位元素の炭素を利用して判定します。比較的簡便ですが原料供給量が不足気味のことです。
4)血清学的診断法:血液中のピロリ菌に対する抗体を検出します。採血ですみますが、反応が出るまでにある程度時間がかかります。
5)細菌培養法:内視鏡下で採取し、1週間培養します。採取部位が適切であればもっとも確実な検出法です。
このような検出法がありますが、いくつかを組み合わせて診断します。
現在、3在併用による除菌療法がすすめられています。それは、強力な胃散分泌抑制剤(プロトンポンプ阻害剤)と抗生物質(クラリスロマイシン、アモキシシリン)の併用法で、約80%の除菌率を示しています。この除菌法で難治潰瘍の多くが2〜4週間で縮小または消失します。いったん除菌が成功すれば、潰瘍再発の可能性は30%程度におさえることができるのです。
しかし、残念ながら、このような除菌療法ではピロリ菌を完全に殺菌することはできません。なぜなら、ピロリ菌は胃の中では通常らせん型の形をしていて、その端に4〜7本の鞭毛と呼ばれる尻尾を持って元気に活動しています。ところが、自分に都合の悪い条件の環境になると、コッコイドという球状形に変身して、一時的に休眠状態となり身を守るからです。この状態ではアンモニアを発生しないので検出する方法がなく、治療の方針も定まっていません。しかし、再び活動することがわかっていますので、ピロリ菌が残っている限り潰瘍は再発悪化の道をたどります。この休眠状態のピロリ菌に対する治療が今後の課題です。
原本平成8年5月 井出 透
通常、癌と診断されることは、現代の我々にとって生命の終わりを意味することと思われがちである。しかし、一口に癌と言っても、癌の進行の度合いは様々であり、進行癌で他臓器に転移を起こしているものや、早期癌で全く転移などの心配のいらないものまで含まれている。近年、消化器癌に対する診察学の進歩は目を見張るものがあり、精密検査では微小癌(5mm以下)のものでも見つけだすことが可能な時代となってきている。癌がおそれられているのは癌には痛みなどの症状がなく、もたれ感・つかえ感などの症状が大多数であり、発見が遅れ診断がついたときにはすでに進行癌になっていることによるものである。たとえば、直径1cmの胃潰瘍ができても腹痛が出現するが、直径5cmを越える進行癌は発生しても自覚症状が無く発癌に気付かずに普通の生活をしていることが多いものである。自分の一番大事なもの「命」がかかっているのであるから自覚症状がなくても精度の高い検査を定期的に受ける必要がある。癌は発生してもすぐに進行癌に成長するものではなく、早期癌の時期がかなり長く、早期癌の間に検査を受ける時間的余裕は十分にある。最近は外科的に開腹せずに内視鏡的粘膜切除
という方法で直径2cm前後の早期消化器癌は切除できるようになり、高齢者や心肺機能などに問題があり、手術を受けられない人にも癌切除が可能な時代になっている。
結論として1.自覚症状がなくても年に一度は検査を受けること。2.自分の一番大事な命がかかっているのだから安易な検査でなく、精度の高い検査を。3.進行癌は外科的手術後も転移が起こらず予後のよい場合もあるが、転移が起こり、癌発見が生命予後にはメリットにならない場合もある。4.消化器癌は早期発見できれば、決して怖い病気ではない。
平成8年3月 久保元敏
胃アニサキス症は、クジラ、イルカなどの海獣類の寄生虫である線虫アニサキスの幼虫が、胃に寄生して起こる急性アレルギー性胃炎です。アニサキスの中間宿主であるアジ・サバ・イワシ・イカ・ニシン・サケなどの魚介類を生で食べることにより起こります。
症状は、アニサキス幼虫が寄生した魚介類を生で食べた4〜5時間後(ほとんど夜中)に胃の痛み・吐き気・嘔吐で始まり、大の大人が転げ回るほどの強い痛みがみられます。この時に胃内視鏡検査をおこなうと、胃の壁を食い破り、頭だけを刺入した2〜3cmの胃とのようなアニサキス幼虫がみられ、広い範囲で胃粘膜が強く腫れ、赤くただれているのが観察できます。治療は虫体を内視鏡的に摘出し、まもなく症状は消失します。アニサキスは、人の寄生虫ではなく人の体の中では10日間ぐらいしか生きられませんが、摘出しないとこの間胃の痛みに悩まされます。
胃以外では、食道・小腸・大腸のアニサキス症もあり、腸アニサキス症では、腸閉塞を起こしたり時には腹腔内の膿瘍や腹膜炎の原因になることもあります。
アニサキスは多くの魚類に寄生し、特にアジなどにはほとんどの個体に寄生しています。ですから一番良い予防策は生で魚を食べないことです。でも今治に住んでいてあの美味しいお刺身を食べないなんてできますか?できませんよね。ではその他の予防法を。@アニサキスは魚の消化管に寄生し、魚が死んだ後筋肉内に移動します。ですからできるだけ早くはらわたを取ってしまうことです。時間がたった時にははらわたに接した部分を薄くそぎ取ってください。Aよく見て食べる。アニサキス幼虫は2〜3cmの線状の硬く白い虫で必ず動きます(動かないのは筋か神経で貴重な蛋白源ですから食べましょう)。Bよく噛んで食べる。アニサキス自体は毒ではありません。よく噛んで新鮮な魚を味わって食べましょう。Cそれでも心配な方は熱を加えて食べてください。酢の中では生きていますからしめサバは感染源になります。
平成7年11月 羽鳥重明
痔でもっとも多い病気はいぼ痔で、続いて多いのが肛囲膿瘍・痔瘻です。いぼ痔が肛門部の血行障害で起こるのに対して、肛囲膿瘍・痔瘻は肛門の中で細菌感染によって起こるところが異なっています。
肛囲膿瘍の細菌感染は、肛門と直腸の境は歯状線といって波形になっておりそのくぼみの所をクリプト(肛門小窩)と呼んでいますが、このくぼみが原発口になっています。クリプトに細菌感染が起こると化膿した膿が肛門線を通って流れだし、括約筋を貫き、肛門下を潜りぬけて、体表に向かって溜まってきます。初めて肛門膿瘍になったときには肛門のまわりが急にはれ、(しこり)ができて、膿の溜まる速度にあわせ痛みが増し、高い熱が出てきます。早急に切開排膿をすれば、はれと高熱にストップがかかり治まってきます。ただ一度細菌が進入したクリプトは、度々季節の変わる頃細菌感染が起こり、肛門のまわりに膿が出てきます。このように原発口から肛門のまわりの二次口の間に瘻管が通っている型のことを痔瘻といっています。
このように痔瘻は自然に治ることはないけれど、最近は根本手術が一般化し容易に全治をしています。
乳児の痔瘻は男の子に限ってみられます。生後40日前後で発生し、肛門の左右側にできることが多く、はじめは若い母親がよくおむつかぶれと間違えますが、肛門の周囲が赤くはれ、おむつをかえる際患部にふれると腰を引き泣いたりします。やはり熱は出ています。冬場などは風邪の熱と痔瘻の熱と区別を見分けることが大切です。手当については排膿を時折行い、1年間の経過を見ます。1年以内で治癒することがあるからです。
平成7年7月 大西武文
痔でもっとも多い病気である内痔核(いぼ痔)は、肛門部の血液の流れが悪くなる血行障害(うっ血)の時に起こります。たとえば、普段でも1日の中で夕方が近ずくと、次第に悪化し、朝になると静まるということを繰り返しているのです。
しかし、時々急に痔が悪くなることがあります。それは、肛門部の血行障害(うっ血)が普段よりひどくなったときで、必ず日常生活の中にその要因があります。長時間の同じ姿勢-坐位、立位(歩く、走る)、中腰-が続くときに起こることが多いのです。
忙しいときの姿勢は、仕事によりある程度決まっていますので、以下にまとめてみました。
タオル 立位 |
縫製 坐位 |
ハウス 中腰 |
美容師 立位 |
デスク 坐位 |
漁業 坐位・中腰 |
大工職 中腰・立位 |
左官職 中腰・立位 |
トラック 坐位 |
タクシー 坐位 |
競輪 坐位・中腰 |
石材 立・坐・中 |
製材 立位 |
造船 中・立・坐 |
建設 中・坐・立 |
これに加えて、年度末年度始めでは学校、役所などで、引き渡し・引き継ぎ・仕事の締めで坐位・立位などが多くなります。
また、仕事以外でも日々の出来事や趣味・スポーツなどでも同じ事が言えます。
転居・屋移 中腰 |
買物 歩く |
動物園 歩く |
応援 坐位 |
旅行 坐位・歩く |
書・画 坐位 |
手芸 坐位 |
園芸 中腰 |
登山 歩く・重荷 |
鉄砲 歩く |
ゴルフ 歩く・ビール |
麻雀 坐位・ビール |
パチンコ 坐位 |
スキー 中腰 |
ゲートボール 歩く |
これらに加え、女性の場合は生理・妊娠(特に7カ月以降)等が悪条件となり、また、便秘症、下痢、過度のアルコール摂取なども悪条件となります。
では、日々の生活の中で痔を悪化させないようにするためには、どのようにすればいいのでしょうか。
それは、まず、ゆったりと毎日お風呂にはいることです(シャワーではダメ)。これにより、全身が暖められ肛門部の血行障害は改善されていきます。
また、トイレでは力まず、ゆったりと(5分以内で)用をたすようにし、排便後は洗った後もみほぐして柔らかくした紙を使用してください。
そして、腰を冷やさないように、野菜・果物を十分に食べるようにしてください。
平成7年8月 大西武文
直腸と肛門の境目には、肛門乳頭というふくらみがあります。これが炎症の繰り返しによって次第に大きくなり、肥大した状態になったものを肥大乳頭または肛門ポリープと呼んでいます。大きくなると連れ肛門外に脱出し、不快感や、ポリープの脇に裂孔ができると、排便の都度に激しい痛みと出血が続くことがあります。しかし、悪性化することはありません。
大腸ポリープは、大腸の粘膜の粘液を分泌している粘液線の細胞が異常に発達・増殖して、粘膜面が有茎状(茸の茎のような形をしたもの)や、扁平状に隆起したものをいいます。大腸の下の方のS状結腸から直腸にかけてできやすく、全体の70%がこの場所にできます。はじめはあわ粒ぐらいの小さなものが次第に大きくなっていきます。大きくなるにつれて、がん化の率が高くなります。最近は食生活の欧米化などの変化によって大腸ポリープが増加しています。正常な人でもがん年齢(女性30歳以上、男性40歳以上)の方は定期的に便潜血反応を受けるようにして下さい。大腸内視鏡による検査を行いポリープを小さいうち(直径1cm未満)に取っておくことです。
原本平成7年9月 大西武文
現在、我が国では肝障害の80%は肝炎ウイルスにより引き起こされるといわれています。肝炎ウイルスにはA型、B型、C型、D型、E型の5種類がわかっています。D型、E型は我が国にはありません。A型肝炎は汚染された食物、水が口から入り感染します。初期症状は黄疸、発熱、強い倦怠感などかなり重い症状がありますが、急性肝炎で終わり、慢性化することはありません。B型、C型肝炎は以前輸血から感染することが多く、輸血後肝炎と呼ばれた時代もありますが献血のチェックができるようになり、今はほとんどその心配はありません。その外、汚染された針からの感染も考えられます。
問題は、持続感染し慢性肝炎、肝硬変へと進展するところであります。B型肝炎の特徴としては分娩寺の母子感染がありますが、今では、ワクチンを接種することで予防できます。激症肝炎が1〜2%みられることを除けば、持続感染してもC型肝炎に比べ肝硬変に進展するものは少なく、多くは無症状の経過するキャリアと呼ばれるものが大多数です。これに対しC型肝炎は初期症状は軽く、ない場合さえありますが感染すると、そのうちの60%〜70%は慢性化し、慢性肝炎から肝硬変、さらには肝癌が発生することもあります。その間非常に長い期間がかかり、肝硬変に進むまでに10年から15年、肝癌が発生するまでには25年位はかかると言われています。
C型肝炎の肝硬変への悪化を防ぐ治療法として、いろいろな方法が試みられています。ある程度の効果を上げていますが、決定的な方法は未だ残念ですが、見出されていません。ここで申し上げておきたいことは、以前アルコール性肝硬変と考えられていたものが、実はC型肝硬変であり、アルコールの痛飲が肝硬変への進展を早めたものであるということであります。1日の疲れをいやすため、つきあい程度のためでも1日日本酒で1合、ビール1本程度であればあまり悪い影響はありませんが、多量のアルコールの摂取は慎んでいただきたい。なお、C型肝炎ウイルスは感染力は弱く、日常生活で感染することはまず考えられません。その点についてはあまり神経質にならないでください。
平成7年5月 高山有泰
そもそも、腹腔鏡(おなかの中を見るカメラ)は産婦人科の不妊症などの一部の治療に利用されてきましたが、フランスで1987年に胆石の手術に応用され、日本でもこの腹腔鏡の手術が1990年から導入された後、爆発的に全国に広がりました。医療機器の進歩と患者さんの痛みや傷をできるだけ少なくしたいという要望が、タイミングよく相まって急速に進歩した事が最大の要因のようです。
2〜10数mmの非常に小さな傷から、腹腔鏡というカメラを入れ、テレビに映ったおなかの中を見ながら、細長い手術器具を遠隔操作するため、欧米の医師の間ではテレビゲームにたとえられて、“任天堂手術”とか“ファミコン手術”と隠語で言われているこれまでとはちがった手術方法です。特殊な手術ですが、おなかを切る普通の手術に比べて傷が非常に小さくてすむために、傷も目立たたず、痛みもほとんどありませんし、社会復帰も早くできる利点があります。病気の状況でこの手術が難しい場合は開腹手術となりますが、技術の進歩で、おなかや胸のいろいろな手術が行われつつあります。
1992年4月より胆嚢の手術が、また1994年4月よりそ径ヘルニア(脱腸)や子宮内膜症の手術などが、1996年4月より胃、大腸や肺の手術なども健康保険がきくことになりましたが、今後、さまざまな病気の手術に保険が認められ、医者の技術も向上し、手術をしても余り痛まないですむ時代が来るのではと期待しております。
1998年現在保険がきく手術は、交感神経切除術、肺切除術 、食道腫瘍切除術、特発性食道拡張症手術、食道裂孔ヘルニア手術、鼠径ヘルニア手術、胃十二指腸潰瘍穿孔縫縮術
、迷走神経切除術、噴門形成術、胆管切開結石切除術、胆嚢摘除術 、肝嚢胞切開術、脾摘出術、腸管癒着剥離術、小腸切除術、虫垂切除術
、結腸切除術、腎摘出術、腹腔精巣摘出術、内精巣静脈結紮術、膣式子宮全摘術、子宮付属器癒着剥離術、副腎摘出術です。
原本平成6.11. 岩城和義
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