健康管理・予防


成人の肺炎球菌ワクチン定期予防接種について

 平成26年10月1日から、成人用肺炎球菌ワクチンの定期接種が始まりました。定期接種とは、予防接種法に基づき自治体が実施する予防接種です。この制度では、過去に肺炎球菌ワクチンを接種したことのない方が対象で、平成30年度までの間に1人1回、定期接種の機会が設けられています。対象年度が決まっており、平成27年3月31日までの対象者は右記のとおりです。 対象者には自治体から「高齢者定期予防接種記録カード」が送られており、定期接種としての公費助成を受けることができます。公費助成対象者の個人負担額は4,000円です。予防接種を希望される方は、各医療機関にお問い合わせください。
※接種した記録が後日わかるように、接種記録カードを保管しておきましょう。
※肺炎はがん、心臓病についで日本人の死因の第3位となっています。予防は大切です。を保管しておきましょう。

肺炎球菌ワクチン定期接種対象者
65歳昭和24年4月2日〜昭和25年4月1日生
70歳昭和19年4月2日〜昭和20年4月1日生
75歳昭和14年4月2日〜昭和15年4月1日生
80歳昭和9年4月2日〜昭和10年4月1日生
85歳昭和4年4月2日〜昭和5年4月1日生
90歳大正13年4月2日〜大正14年4月1日生
95歳大正8年4月2日〜大正9年4月1日生
100歳以上大正4年4月1日以前にお生まれの方

平成27年2月 コ安一樹


大規模災害医療とトリアージ

 市民の皆さまには、健やかに新年を迎えられたことと心からお喜び申し上げます。
 昨年は、東日本大震災・津波により甚大な被害がもたらされましたが、今治市でも南海地震や川上・小松断層、石鎚−池田・三野断層の活動による地震で最大震度6強が想定され、多数の被災傷病者が出る恐れがあります。
 一度に多くの被災傷病者が発生する大規模災害時の医療は、通常の医療や救急医療とは大きく異なります。平常時の医療では、「全ての人に最良の医療を提供する」ことに全力が注がれます。しかし、災害時医療では、残存する限られた医療資源(医療スタッフ・医薬品・機材等)を最大限に効率よく活用し、救命できる可能性の高い方に資源を振り向けなければなりません。そのために、傷病者の緊急性や重症度に応じて、治療の優先順位を決定する“トリアージ(選別)”を行います。
 被災現場でトリアージ班長を中心にして、傷病者の方を「T 赤:緊急治療の必要性あり」、「U 黄:治療の必要はあるが待機可能」、「V 緑:傷病はあるが生命・機能予後に影響を及ぼさない状態」、「0 黒:治療の適応なし(死亡または治療による救命の見込みなし)」の4段階に分けます。T(赤)と判断された方は、応急処置を行い直ちに病院へ搬送します。U(黄)の方は厳重な管理の下に、状況に応じて病院へ搬送します。V(緑)は現場救護所で治療を行い、0(黒)と判断された場合は搬送されません。
 大規模災害医療は「被災者全体にとっての最善」を目指しており、個々の被災傷病者からみると、平常時であれば受けられる治療が受けられない状況がしばしば発生します。災害医療を円滑に進めるためには避けられず、市民の方々にこの点をご理解いただくことが非常に大切です。

平成24年1月 羽鳥重明


自転車に乗ろう

 私たちの住んでいる今治には、世界に誇るべきサイクリングロードがあります。もちろんご存じ「しまなみ海道」です。海の上を潮風を感じながら自転車で渡る爽快感は素晴らしいものです。皆さんはもう体験しましたか。
 自転車は手軽に始められる有酸素運動としてお勧めの方法です。ウオーキングに比べ下半身への体重負担が少なく、心肺機能を高めるとともにストレス解消にも役立ちます。通勤に、夕方のお買い物に、休日は遠出してみるのもいいでしょう。ちなみに体重60キログラムの人が時速20キロメートルでのサイクリングを30分行うことで約200キロカロリーのエネルギー消費になります。
 運動療法としての自転車の有用性に関し自転車先進国であるヨーロッパから興味深い報告が医学雑誌に掲載されたのでご紹介します。スペインのバルセロナで公共自転車の利用者を対象に健康調査を行ったところ、車を利用する人々と比べ、身体活動量が増加した結果、健康面での利益だけでなく、大気汚染や温室効果ガスの削減といった環境面での改善ももたらすことが分かりました。ヘルシーなうえにエコ。かっこいいですよね。
 いろいろな疾患で運動療法が必要な方、最近メタボが気になる方、自身の健康維持増進のための一つの方法として自転車に乗ることを考えてみてはいかがでしょうか。ただし、個々の疾患の状態によっては運動を控えたほうがよい場合もあります。必ずかかりつけ医に相談の上、行うようにしましょう。

平成23年11月 今岡大也


ノルディックウオーキング

 2本のつえでウオーキングしている人を見かけたことはありませんか。
 ノルディックウオーキングは、スキーのストックに似た「魔法のつえ」と呼ばれているポール2本を両手に持って地面を押しながら歩く運動で、北欧フィンランドで発祥しました。高齢者でも体に負担をかけずに簡単にできるため、全国の老人保健施設や病院、リハビリ施設などで導入が相次いでいます。
 ポールを使用することで全身の90パーセントの筋肉を使って歩くことができ、上半身と下半身のさまざまな筋肉の強化と持久力の向上に高い効果があります。また、有酸素運動としてエネルギー消費量や心拍数が通常のウオーキングに比べ約20パーセント上昇するので、ダイエット効果や生活習慣病予防になります。四足歩行となり、腰や膝関節への負担を軽減し腰痛や膝関節痛の予防になります。さらに、正しい姿勢で歩くこともでき、上半身の筋肉を使うために、肩こりの予防と治療にもなります。
 ポールの体験者の感想は、「膝の痛みがなく足がスムーズに出て楽に歩ける」「周囲の人から『歩きっぷりが良くなった』と言われる」「背すじがのびて、他人から『すごく姿勢がいい、キレイ』と言われるようになった」「肩こりが減った」などで、かなり好評です。
 さあ、皆さんも、ノルディックウオーキングを始めてみませんか。

平成23年9月 長野洋司


今年こそがん検診を受けましょう!

 平成19年度から施行された「がん対策基本法」に基づき、「がん対策推進基本計画」が策定されています。これには、今後10年以内にがん検診受診率を50パーセント以上とし、がんによる死亡を20パーセント少なくするという目標が掲げられています。今治市の平成21年度のがん検診受診率は、胃がん検診8.5パーセント、大腸がん検診11.2パーセント、肺がん検診12.0パーセント、子宮がん検診11.4パーセント、乳がん検診10.8パーセント、前立腺がん検診10.8パーセントと著しく低く、しかもここ数年は低下傾向です。
 日本人が一生のうちでがんになる確率は、男性で2人に1人、女性は3人に1人と非常に高率です。がんの発生原因は喫煙、食生活、遺伝、一部の感染症などですが、予防効果が期待できるのは禁煙、ウイルス肝炎の治療、ピロリ菌の除菌と女性の子宮がん予防ワクチンの接種などです。食生活の改善や運動などによる予防は、残念ながらまだ研究段階です。しかし、がんの予防はできなくても、命を落とすことは防げます。
 がんは、早期に発見し適切な治療を受ければ治る確率が非常に高いものです。ここで重要なのは、「がんの初期症状は無症状」だということです。無症状のうちにがんを発見するためには、検診を受けるしかありません。ただし、何らかの症状がある場合には、必ず医療機関を受診することが大切です。がん検診は、症状のない人が受けるものなのです。集団検診については、今治市健康福祉部健康推進課にご相談ください。
 健やかで明るい将来のためにぜひとも「今年こそがん検診を」受けていただきたいと思います。

平成23年1月 羽鳥重明


ペットで気をつけてほしいこと

 平成になってペットブームが続いています。我が家にも二匹の犬達が家族の一員として生活しています。特に小児とイヌが仲良く遊んでいる姿はほほ笑ましい光景です。ただ気を付けてほしいことが一つあります。
 昭和30年代の中ごろ、イギリスの眼科医が小児の目の癌がんと思い摘出した眼球の組織に虫体を発見しました。ヒトの回虫は虫卵が口から入り腸で浮化し、肝、肺を通って再び腸に戻り成虫となりますのでこの虫体は、ヒトの回虫の幼虫が眼に迷入したものと考えられましたが、大きさや形から、イヌの回虫の幼虫だと分かりました。昭和38年、私の先輩は動物を使ってイヌ回虫の幼虫が、脳、涙腺、網膜に侵入することを証明しました。
 イヌ回虫の幼虫は、ヒトの体内では宿主が異なりますので成虫にはならず、住む場所を求めて体内を移動し、そのうち死にます。ヒトの体は、幼虫を異物と考え虫体の周りに肉にく芽が 組織を作って防ぎますのであたかも腫瘍のように見えます。現在ではCT などの診断機器が発達していますので、眼球を摘出することはありませんし、これまで我が国でこのような症例は聞いていません。しかし可能性はありますので注意する必要はあると思います。
 予防は、イヌのふん便中の回虫の虫卵が口から入らないようにすることです。広場や公園で遊んだ後は必ず手洗いをする、特に這はい這はいをしている幼児と子犬とを同じ座敷で遊ばせないことが大切です。イヌの回虫は胎盤感染ですので、子犬に回虫の保有率が高いからです。
 また、イヌを飼っている方は、子どもたちの遊んでいる広場や公園ではふんをさせない、ふんは必ず飼い主が後始末をするマナーを身につけてほしいものです。

平成22年6月 臼谷 直純


メタボ運動(ミニ知識)

 今年から、メタボ検診が始まりました。今後メタボ改善に、運動を勧められる方が増加するでしょう。ウオーキング・ジョギング・プールでの運動・軽い負荷の筋力トレーニングなど、身近な運動を勧められるでしょう。
 運動をより効果的に行うために注意を払いましょう。ウオーキング・ジョギングでは、下半身の筋肉を柔らかくする体操やストレッチを忘れずにしましょう。体の重心が片側にずれると、腰痛や膝痛を起します。体のバランスをチェックした上で、運動を始めた方が良いでしょう。プールに入る前には、準備体操をしっかりしてください。急に首までつかると、高血圧・不整脈を起こしやすくなります。筋肉トレーニングの時は、動かしている筋肉を意識し、呼吸を忘れないようにしてください。筋肉を動かす方向も正確にするよう心掛け、故障・ケガをしないように注意してください。運動をする際は体の中心の大きな筋肉をしっかり動かしてください。姿勢は可能な限り、猫背にならないように気を付けてください。シューズの裏面を見てください。全体がバランスよくなっていますか。外側や後方の消耗が激しいと、膝・腰を痛めやすくなります。
 私の手元に土佐礼子選手のトレーニングシューズがあります。見られた方が皆さん感心します。何百キロも走っているのに、かかとの部分が全く地面についていません。土佐選手のような歩き・走りが出来れば、運動効果は最大となるでしょう。

平成20年9月 林 雄司


「メタボ」対策〜生活習慣の見直し〜

 今年度から開始された特定健診は、「メタボリック症候群」に着目し、生活習慣を見直し改善していくためのものです。
 内臓脂肪の蓄積があり、血清脂質異常血圧高値高血糖の3項目のうち2つ以上を有する場合に「メタボリック症候群」と診断されます。薬物的治療が必要な場合はもちろんのこと、そうでない場合も生活習慣の見直しが重要です。生活習慣の見直しにもさまざまありますが、特に「食事」と「運動」がその中心となります。
 「食事」においては、自分に適した摂取カロリーを把握し、食べ過ぎないこと。バランスの良い食事を心がけること。摂取カロリーを把握することは有効です。しかし、気にしすぎて強いストレスを感じる方もおられます。その場合、最初はわかりやすい目標を立て、取り組んでみましょう。例えば、「夜食は食べない」「間食を控える」「夕食は腹八分」などどうでしょうか。現代の日本は飽食の時代で、食事内容も欧米化しています。普段通りに食事をしても、糖質や脂質を過剰摂取してしまう傾向にあります。この傾向から身を守るには、平素からの「意識」が非常に大切です。
 「運動」においては、気軽に毎日続けられる運動習慣を持つこと。時には、汗をかく程度の運動をすること。運動をする際には、膝や腰を痛めることが無いよう自分にあったものを自分で選ぶ必要があります。治療中の疾患がある場合、主治医に相談にのってもらいましょう。また、運動のしすぎは禁物です。
 食事だけ、あるいは運動だけ取り組んでも、効果が出にくいものです。両方の「こつ」をうまくつかんで、無理のない生活習慣の見直しをしましょう。

平成20年7月 徳安一樹


高齢者に対する医療(健康長寿を保つために)

 人口の高齢化が進む中、わが国では、多くの臨床医は30〜50パーセントの高齢者の診療に当たっているといわれます。日本の平均寿命(平成17年)は、男性78.53歳、女性85.49歳と圧倒的に女性の方が長寿で、日本は世界一の長寿国となっています。平均寿命のうち自立して健康に生活できる期間を健康寿命といい、最後まで健康寿命を保ちたいと願うのは誰しものことと思います。けれど、高齢者の健康・生活自立度という点では、女性の方が多くの課題を抱えています。
 厚生労働省による平成13年度の「国民生活基礎調査」によると、要介護となった方の原因として脳血管障害が占める割合は、男性42.9パーセントに対して女性20.2パーセントと約2倍の差がありました。このことは男性の場合、脳血管障害の原因となる生活習慣病の予防・治療に努めることが健康寿命を維持するために大切なことと思われました。
 一方、女性では脳血管疾患に続いて衰弱18.3パーセント、骨折・転倒14.8パーセント、関節疾患12.8パーセントが要介護の原因となっていました。要介護期間は男性1.4年に対して女性2.7年と約2倍の格差がありました。また、厚生労働省「介護給付実態調査(平成18年度)」によると全国の介護保険総数354.9万人の内、男性102万人に対して女性252.9万人と約2.5倍多く利用していました。65歳以上人口は男性510万人に対して女性737万人と約1.4倍程度の差にすぎず介護保険サービスの利用率の男女格差が生じています。このことから女性が健康寿命を保つためには生活習慣病の予防・治療に努めるとともに壮年期から骨折の原因となる骨粗鬆症、関節疾患の予防に努めることが必要と思われました。
 厚生労働省によると平成16年の日本の死因第1位は悪性新生物(癌)31.1パーセント、2位 心疾患15.5パーセント、3位 脳血管疾患12.5パーセントで、65歳以上の男性は女性の約2倍の確立で癌の発生が多くなっていました。今後、生活習慣病に対する予防・治療が進みますとますます、悪性新生物(癌)での死亡率の増加が予想されます。男性の場合は特に生活習慣病の予防・治療に努めるとともに、癌の早期発見のため健康診断を積極的に受け健康寿命を保っていきましょう。

平成19年6月 仁志川 高雄


楽しくアンチエイジング

平成18年11月 仁志川由香里

 「アンチエイジング」という言葉をご存じでしょうか。体も心も年齢よりずっと若々しく保つという意味です。「もう年だから」という言葉で、いろいろとあきらめていませんか。確かに、1年たてば1歳年を取ります。しかし、100歳になってもお元気で、自分の望む生活をされている方も多くいらっしゃいます。毎日の少しの心遣いで年を取るのを忘れましょう。
 この度、介護保険制度が改正され、「予防」も保険の対象となります。今までの介護保険は「困ったらお助けします。」という制度でした。来年4月からは「困らないように、前もってお手伝いします。」というサービスが追加されます。少し困りかけの方(「特定高齢者」という名称が付きました。市の検診で認定されます)の若さを保つお手伝いが始まります。具体的には次の3つが順次予定されています。
ストレッチ体操、マシンを使っての体操、プール、カラオケなどで体の若々しさを保つ。
栄養改善を習い、糖尿病・高脂血症・高血圧・貧血・骨粗しょう症・肥満などの予防をして、体の衰えを防ぐ。
口腔衛生を行い、歯周病の予防・入れ歯の調節・虫歯の治療を行い、しっかりと噛んでおいしく食事が食べられる。
 薬を医師の指示通り、きちんと服用する事は大変大切です。それに加えて、バランスの良い食事をしっかり食べて、体を動かすことが、すなわち「アンチエイジング」です。週に1回でも、仲間と一緒に体を動かして「楽しくアンチエイジング」を始めて、生き生きと長生きしたいですね。


急性アルコール中毒について

 今治城築城400年を祝うがごとく、今治城の桜も満開となりました。新入社員、学生の歓迎会にと飲酒の機会も増えるこの時期を愉快に過ごしていただくためのお話しをさせていただきます。
 急性アルコール中毒の典型例は、学生のコンパでの「一気飲み」が挙げられ、日常診療でも数多く遭遇する中毒症の一つです。血中濃度の上昇に伴い、多幸感、多弁から千鳥足、知覚・意識の低下、低体温、痙攣、呼吸抑制などの症状が現れてきます。また、香水・整髪料などにもエタノールがかなり高濃度(40〜90パーセント)に含まれるため、小児が誤ってこれらを摂取した場合にも同様の症状を起こします。
 アルコールは、消化管からの吸収が早く、摂取後1 時間以上経過したものはほぼ体内にとり込まれているものと考えられます。体重50キログラムの成人でウイスキー1 本以上、日本酒ならば1 升以上を一時に摂取した場合、体重20キログラムの小児ではその6 分の1 程度にて生命にかかわる危険性があります。ほとんどの場合、数時間の経過で症状の軽減をみますが、胃・腸の手術を受けた方、神経系の薬を飲まれている方はその作用が、早く強く現れます。
 お酒を飲んで気分が悪くなった時には、早めに水分を多量に補給し、誤嚥防止のため横向きにねかせてあげてください。また、末梢血管の拡張により容易に体温の低下を起こすことがありますので、衣服・寝具などにて十分な保温・加温を行うことが大切です。これらに気をつけ、ひどくなるようでしたら、早めに病院の診察を受けてください。

平成16年4月 亀井愛典


靴と健康

 「足は第2の心臓」「老化は足より」ともいわれ、足の障害は全身の活動性に強く影響します。足について悩まれている人は多いと思いますが、その足を守る靴に対する関心は欧米に比べ日本は著しく低いようです。
 足を強く締め付けるフィットしない靴や、高いヒールの靴をはくことにより身体にいろいろの問題が起きます。まず足の局所的病気としては、最近特に言われるようになった外反母趾があります。先のとがった靴に無理に自分の足をはめ込むことによって足の母趾ぼしが外側に曲がってくるのです。外見上気になるだけでなく、痛みのため歩くのにも支障が出てきます。また、間違った靴で足趾の先端部の余裕がなくなり、足の先が曲がったまま固まってしまう槌趾や、母趾によくみられる巻き爪、足の裏にできるタコ(胼胝)やウオノメ(鶏眼)などがあります。
 さらに、悪い靴による全身的影響としては腰痛、肩こり、頭痛、集中力低下、いらいら症などが出てきます。
 欧米には各人によくフィットした靴を作るのに資格を持った専門の職種があり、大変繁盛しているそうですが、日本にはまだありません。とりあえず、靴を選ぶときには以下の点をしっかり頭に入れて、よい靴を選んで下さい。
@歩いたり、立ったりして足が腫れたときに履く。A左右両方共の靴をしっかり紐を結んで履いてみる。B柔らかい絨毯ではなく、なるべく固い地面の上で履く。C爪先立ち、かかと立ち、しゃがむなどいろいろに動いてみる。Dサイズは母趾の爪が強く圧迫されず、足の指全体が靴底に接触し、靴の後ろに鉛筆1本が入り、足をかかと側に寄せると母趾の先に1cm位の空きができるのがよいでしょう。

平成11年10月  藤井紘三


BGMは死の四重奏曲?

 皆さんの求める本当の豊かさとはどんなものでしょうか?物があふれ、「足を知る」事を忘れ、贅沢、無駄に何の罪の意識も持たない飽食の時代が続いています。一法で地球環境の破壊はジワジワと進行しています。これらのことは皆さんの健康と決して無縁ではありません。以前と比べ過食、運動不足、ストレス過剰などと関係の深い糖尿病、高脂血症、高血圧、高尿酸血症などいわゆる生活習慣病が増えています。また合併症としての心臓、脳、腎臓の疾患は生命や生活の質を脅かす深刻な病気です。
 内臓脂肪の多い肥満、高脂血症、糖尿病(耐糖能異常)、高血圧とそろっている方はいませんか?ちょっと耳を澄ませてみて下さい。背後で静かに「死の死重奏曲」が奏でられているのが聞こえませんか?これに喫煙、高尿酸血症などが加わると、狭心症、心筋梗塞は何十倍もおこりやすくなります。
 ではどうすればよいのでしょう。遺伝的素因、性別など個人ではどうにもならないこともありますが、まず自分の生活を振り返ってみること、そして何よりも前向きな強い意志を持つことです。日々の生活習慣の中で食事、運動など「ふと気がついてみたら何でもないこと」を実践するだけで自分の力で健康という豊かさを得られる部分も多いのです。
 特に21世紀を担う若い世代の皆さん、どうぞ子供達には小さいうちから食事や運動に気をつかい、自然に親しみ自然を大切にする生活習慣を付けてあげて下さい。物よりもっと大切な物があることを教えて下さい。

平成11年8月  伊藤武俊


予防接種について

 予防接種は、各種の感染症に対して免疫を持っていない人(感受性者)を対象として行われるもので、感染の予防、発病の予防、症状の軽快、病気のまん延防止などを目的としています。大手スーパーマーケットなどが開店してしばらくして、麻疹(はしか)の流行が認められたこともありました。これは開店時の人ごみの中に麻疹の患者が紛れこんでいたために多数の感受性のある乳幼児へ、感染がひろがったものと考えられます。お母さんから赤ちゃんにプレゼントされた、病気に対する抵抗力(免疫)は、時期がくると自然に失われていきます。
 ですからこの時期を過ぎると、赤ちゃん自身で免疫をつくって病気を予防する必要が出てきます。これに役立つのが予防接種です。子供が発育するに伴い外出する機会が多くなってきます。また保育所や幼稚園での集団生活にはいるといろいろな感染症の流行がみられることがあります。できればその前までに予防接種で免疫をつけ、病気にかからないようにした方がよいと思います。
 それぞれの予防接種については、かかりつけの医師に相談してスケジュールをたててもらうとよいでしょう。最近、病気がはやっていないので予防接種は必要ないのではと言う声を耳にしますがこの考え方はまだまだ早計です。予防接種で抵抗力を付けている人が多いので病気の流行が押さえられていることを忘れないで下さい。

平成10年7月  地行義彦


ダイエットについて

 近年、女性週刊誌上を見るとダイエットのコマーシャルが非常に多く目に付くようになりました。女性が美しくなる努力は、我々男性にとっても嬉しい限りです。しかし、同じ週刊誌やテレビのワイドショーなどで、芸能人のダイエット失敗の報道がなされています。芸能人は目立つので単なるスキャンダルとして取り上げられております。このダイエット失敗は、特別なことではありません。皆さんがよく目にする普通のダイエット法によるものなのです。
 さて女性には特有の性周期というものが存在します。この周期は非常に繊細で、微妙なバランスの上に成り立っています。対人関係、社会環境の変化、生活環境の変化、不規則な生活などによって簡単に崩れてしまいます。その他にも色々な原因によって性周期の変調を来しますが、最近特に増加しているのがダイエットによるものです。一般的には、短期間に5kgの体重減少で一時的に排卵が起こらなくなります。10kgの体重減少で永久的に無排卵となる可能性が高くなります。治療をしてもなかなか排卵は戻ってきません。このように危険なダイエットは不思議にも、標準体型の女性が行うことが多いようです。しかも、一生で一番大切な思春期から正成熟期の女性に多く、一時的な興味で一生を棒に振ることになりかねません。女性は恋をすれは自然に美しくなります。美しさは決して痩せていることではありません。ふくよかさが女性の美しさです。痩せるためのダイエットではなく、標準体重を維持するためのダイエットにとどめ、健康美を取り戻してください。

平成8.8.  丹 英人


「なぜタバコを吸うの?」一日20本20年吸えば‥

 1993年に男性がん死亡数の第一位、女性の第三位に肺がんがランキングしました。20年後の肺がん死亡数は男女とも現在の約三倍にもなるとの予測もあります。がんが病死で一番多いことはご存知だと思います。このままでは私たちは肺がんで死ぬ確率が相当高いことになります。しかし肺がんの治療成績はこの十年間向上したとは言いがたく、検診も現状の方法では肺がん死亡数を減らすことを期待できません。肺がんが見つかっても治らないのなら、私たちは肺がんにならないようにするしかありません。
 喫煙が肺がん罹患の危険要因であることはご存知だと思います。特に扁平上皮肺がん、小細胞肺がん(両者で肺がん全体の50%強)はほぼ100%喫煙で説明できます。タバコの煙には直接がんを起こす発がん物質が40種類以上のほか、がんの発生を助ける物質も多量に含まれます。これら有害物質は喫煙者自身が吸う煙よりも、タバコの先から出る煙のほうに2〜3倍も多く含まれ、他の人のタバコの煙を吸うのも大変危険です。(奥さんや子供さんの前で吸っているお父さん!)
 また 一日に吸うタバコの本数が多ければ多いほど、喫煙年数が長ければ長いほど肺がんの危険度は高くなります。その目安として「喫煙指数」があります。それは一日に吸うタバコの本数と喫煙年数を掛け合わせたもので一日lO本20年喫煙で200というぐあいです。これが4OOを越えると肺がんにかかる危険度が急増するのです。喫煙本数だけでなく喫煙開始年齢が早い人も危険だと言えます。逆に早く禁煙すればするほど危険度は低くなり、禁煙十年で危険度は1/3に減少します。
 ニコチンには肉体的依存症はありません!さっそくタバコを止めましょう!

平成8.7.  相原 信之


予防接種

 予防接種が平成6年に改正されました。主な改正点は、表に示したとおりです。

改正前 改正後
予防接種法の理念 疾病の蔓延から社会を守るという社会防衛的側面を強調 社会防衛とともに、個人の健康を守るという側面も強調
国民への接種に義務づけの緩和 義務規定
「接種を受けなければならない」
努力規定
「接種を受けるよう努めなければならない」
予防接種対象疾患の見直し 痘そう、ジフテリア、日本脳炎、百日咳、ポリオ、麻疹、コレラ、風疹、インフルエンザ、ワイル病、(BCG) ジフテリア、日本脳炎、百日咳、ポリオ、麻疹、風疹、破傷風、(BCG)

 予防接種対象疾病の見直しでは痘そう、コレラ、インフルエンザ、ワイル病がはずれ、破傷風が加えられました。(BCG)は結核予防法で義務規定にされていますが、これも努力規定に変わりました。
 この改正で最も重要なことは、自分の健康は自分で守るよう、個人に責任を持たせたことです。
 予防接種の効果と生活環境の改善で各種の伝染病は激減し、伝染病の怖さより予防接種の副作用による健康障害に関心が向き、予防接種を敬遠する傾向があります。しかし、本当に怖いのは伝染病そのものであって、医療の進歩した今日でも未だに伝染病や合併症で重得な後遺症を残したり、亡くなったりする子供は、予防接種の副作用よりはるかに多いのが現状です。たとえば、麻疹(はしか)で亡くなる人は毎年50〜100人あります。
 今後、予防接種は集団接種から次第に個別接種へと移行していきます。副作用のないワクチンの出現を待ちながら、予防接種の摂取率が下がらないよう行政、保護者、医師が協力しあって子供たちの健康を守っていかなければなりません。予防接種に関する不安、疑問、その他わからないことは遠慮なく小児科の医師にご相談ください。

原本平成6年9月  今岡正俊


お酒と健康

 昔から酒は、百薬の長として洋の東西を問わず好まれてきたものですが、飲み方によっては害になることもあります。
 飲み過ぎて肝臓を悪くしたり、アルコール中毒になったり、精神異常をきたすことはよく知られています。適量としては、ビール1〜2本、日本酒だと1〜2合ぐらいでしょう。飲むときは必ず“おつまみ”を取ることです。楽しい気分でゆっくり飲めば、食欲も進み、ストレスからも解放され、動脈硬化も防ぎます。
 お酒は過ぎると高血圧の頻度が増え脳卒中の危険がありますが、適量だと一時的には血圧は下がります。高血圧の人でも適量のお酒は結構です。
 心臓病、特に虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)は、お酒のみの人が罹り難いという統計さえあります。アルコールは、悪玉コレステロールを下げ、善玉コレステロールをあげて動脈硬化を防ぐからです。
 糖尿病の人は、アルコールは高カロリーですから注意してください。日本酒やビールは、糖分を多く含んでいますので、ウィスキー・ブランデー・焼酎類が無難です。
 胃腸の弱い人も適量でしたら差し支えありませんが、飲み過ぎると胃粘膜を刺激し、胃炎や潰瘍になる心配があります。
 酒を飲んで風呂にはいるのは危険です。薬を飲むのもよくありません。薬もアルコールも肝臓で分解されるので余分な負担がかかり、悪酔いします。晩酌の習慣のある人も、週休2日制にして肝臓をいたわりましょう。
 お酒は適量を正しく楽しんで飲んで、いつまでも健康でありたいものです。

平成5年10月  山内尚聡


集団検診は避雷針?

 古来、怖いものの代表は「地震、雷、火事、親父」と言われてきました。この中には最近になって地盤沈下が著しく、その権威を失墜しているものもあります。雷についても、その発生を防止することは出来ないまでも、避雷針によりその被害は完全に近く防御されています。
 我々が、病気あるいは死の恐怖を考える時、不安の大きいのは死亡率の高い癌であり、心臓病であり、又、脳血管障害でしょう。 この中でも、癌については、現在も、最も恐ろしい響きをもった言葉ですが、従前に比較して、そのニュアンスは少しずつ変わって来ています。それは、早い時期に癌を発見すれば治療が可能な病気になって来たからです。そして、早い時期に癌を発見するための診断方法も開発されて来ました。胃、肺、子宮などの集団検診は症状の内時期に癌病巣を発見するために考案された方法です。
 癌が体内に発生してくるのを防止することは出来ません。しかしながら、集団検診によって、早い時期に癌病巣を発見し、早い時期に手術をして、癌を除去してしまえば、癌は決して怖い病気ではありません。丁度、落雷を避雷針によって誘導して、その被害を最小限にくいとどめるように。 胃、肺、子宮の集団検診を定期的に受けましょう。

昭和61年9月  村上健二


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